☆国道257号線を行く(1)

 「佐藤さんは何でまた国道なんて趣味にはまったんですか」と聞かれることがよくある。きっかけは免許を取りたてのころのドライブだった。運転にも慣れたし、いっちょどこかに遠出してみようと思ったが行くあてが思いつかず、とりあえず近所の国道408号をどこまでも行ってみたら、成田空港に着いてしまったのだ。ははあなるほど、この道は筑波研究学園都市と、日本の空の玄関口を結ぶために造られた道であったのか、と妙に納得してしまった。

 で、道路地図など眺めると、一本の道が思いもよらないほど遠くまで行っていたり、なぜか途切れ途切れだったり、異常に短かったりといろいろなパターンがあることを発見した。この辺の「謎解き」から国道の道にはまっていったわけである。ま、これを説明しても「なるほどね」と納得してもらえることはほとんどないのだが、まあいいのである。

 で、今回取り上げた国道257号も、非常に意外なところまで延びている国道である。起点は静岡県浜松市、浜名湖近くの海追いから出発し、遥かに野を越え山を越えて、石川県や福井県境近くの岐阜県高山市(旧荘川村)までたどり着いている。最近この道には新名所もできたということだし、思いつきでいっちょ走りに行ってみることにしたのであった。242.6kmの旅の果て、筆者が見たものは――。まあまずは順を追って、浜松から走り始めることとしてみよう。

 てことで起点はここ、浜松市の「篠原町」交差点である。国道1号から分岐して始まるのだが、実はここはR1浜名バイパスの起点でもある。


旅の始まりはここ。さて気合い入れていきますか。

 が、正確にいうと起点はどこであるのか。路面をチェックした結果、写真のようなペイントがあるのを発見。


「R257 BP」と描き込んである。

 ふむ、ここで横の縁石も切れている。またこの手前の標識は「国土交通省」、この先の標識は「浜松市」のシールが貼ってある。ここがR1とR257の境界線と見てよいであろう。国道の境目にはよくこうしたペイントがあり、正確な起点を調べる手がかりになってくれるのである。

 てことで出発である。浜松は家康の昔から栄えた宿場町だけあって、地名にも「旅籠町」なんてのがあり、「米久」だの「呉竹荘」だのといった、名前だけは渋いものの中身は近代的なホテルが建ち並んでいる(筆者は呉竹荘に泊まったが、設備といい雰囲気といい非常に良かった)。実はこの辺のR257はかつての東海道、そして近代の国道1号のルートを踏襲している。宿が多いのも納得である。


縁起物なのでファーストおにぎりもゲット。

 さて道が浜松市中心部にさしかかるところ、連尺交差点でR152(静岡県浜松市〜長野県上田市)と接触する。この交差点、南と西がR257、東と北がR152となっている。国道同士が交わる十字路は山ほどあるが、このように一点だけ接触して離れていくタイプの交差点は、筆者の知る限り全国でここだけだ。世の99.9%の人びとにはどーだっていいことであろうが、筆者にとっては大変レアな価値あるポイントなのである。


連尺交差点付近。上下6車線の堂々たる風格。

 なんでこんな不自然な交差点ができたかといえば、どうやらかつてこの交差点の東と南がR1であったのだが、浜松バイパスの開通でR1が移動してしまったためのようだ。下の地図でおわかりいただけるだろうか。たぶん浜松バイパス開通前は、R257とR152の起点はここだったのであろう。



詳しい地図で見る


 さてR257はこの後市街地の中を北上し、郊外へと向かうこととなる。この辺はかつて金指街道と呼ばれていたらしい。ただしちょっと東の方に、真北へ向かう大規模なバイパスが建設されつつあり、将来的にはR257はこちらに一本化されることになりそうだ。このバイパス、前後にも道はできているのだが、今のところなぜか一部だけが国道指定された妙な姿である。将来的にはどういう形に落ち着くのか興味あるところだ。

 三方原付近で、バイパスと合流。信玄vs家康の決戦が行われた場所として有名なところだ。歴史では「三方ヶ原(みかたがはら)の戦い」と習った記憶があるが、今は「みかたはら」と呼ぶんだろうか。付近の菓子店でおみやげ購入ついでに店員のおばちゃんに聞いてみたら、「あー、地元の人は『みかたっぱら』とも言いますよ」だそうで、地名というものは奥が深い。


国道業界では、このように三方に同じ番号の国道が出ている標識を「三方開花」と称する。
三方原が三方開花になっているというのも何かの縁であろうか。

 この後、旧引佐町の金指にてR362(愛知県豊川市〜静岡県静岡市)と合流、すぐ離れていく。地図上ではR257がR362に間借りしている印象だ。この国道、非常に他国道との重複が多いのだけれど、その第一弾である。R362との分岐を過ぎると、R257は本格的な山岳路の様相を呈してくる。


R362との重複区間。R257が通る静岡・愛知・岐阜の3県は重複区間を
こうしてきちんとだんご標識で表示しており、大変好感が持てる。

 で、引佐の山間部に入るところで、大規模な工事が行われていた。第二東名か?それにしちゃ幅が狭いな、と思っていたのだが、どうやらこれはR152編でも触れた三遠南信道であるらしい。うーん、必要なのかなこれはという気もしたが、まあ東名と第二東名を結ぶ部分に関してはニーズもあるのだろうか。


左がR257、右が工事中のR474・三遠南信道。

 さらに山を登り、炭焼田トンネルをくぐると愛知県に突入する。このトンネルは1999年の開通。旧道も入れるようなのでちょっとのぞいてみたが、落ち葉が降り積もりかなり廃道化が進んでいたので、深入りせず撤退した。人の手が入らないと、10年も経たないうちずいぶんさびれるもんである。


左が旧道の峠道。右の木の枝の隙間から現道のトンネルが見える。

 最近は廃墟ブームの影響もあってか、この手の廃道に入り込んでレポートをするサイトが増えてきた。本なども発売されて、ちょっとしたブームの様相である。しかし閉鎖しているゲートを押し開けて侵入したり、危険なところに大型車で入り込んだりといった記述をしている人もいて、ちと感心しない状況だなという気もする。自己責任では済まされない事態になることもあるわけで、危険な行為を助長するようなことはあまり書いてほしくないなと思うのである。

 ということでパート2の愛知県編に続く。

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