☆国道の遊び方(2)

 というわけで国道の遊び方パート2である。マニアのやっていることというのははっきりいって極めて濃いので、呆れてしまわないようにお願いしたい。

 (1)国道グッズ収集

 国道標識のあの青い逆おにぎり型を見るだけで心ときめく我々としては、このマークの入ったグッズを手元に置きたくなるのが自然な心の流れというものである。が、世の中存外こうした商品は少ない。むしろアメリカの国道標識(白い金魚鉢型のやつ)をデザインしたグッズの方がたくさん見かけるほどで、このあたり日本のデザイナー諸氏には猛省を促したいところである。筆者の手元にある数少ないグッズは下記のもの程度であるが、このほかにご存じの方がいたらぜひ掲示板あたりにご一報をいただきたい。

 国道ギターピック。路線の選定理由が謎である。ちなみに国道69号というのは存在しないが、ロック」にかけてるんでしょうな。関西にはR43やR171、九州にはR3やR200、沖縄にはR58やR329など地方バージョンなども存在するというので、いつか手に入れたいところだ。

北海道限定の道の駅マグネット。デザインがしっかりしていて大変好感が持てる。

R1キーホルダー。東海道制定400周年を記念し、道の駅富士のみで2000年に限定発売された激レアな一品。

 聞くところによれば、沖縄に行くとR58の標識を大きくフィーチャーしたTシャツが売っているとのことなので、上陸の暁にはぜひゲットしたいところである。

 (追記)
 その後、読者のはにまる氏(兵庫県在住)から、R58Tシャツ及びステッカー、R171ギターピックの写真をいただいた。

 国道58号は鹿児島市に始まって種子島・奄美大島を経由し那覇市に至る、沖縄の象徴とも言うべき路線である。また沖縄県道39号というのは那覇のメインストリート・国際通りのことで、国道グッズでさえレアであるというのに、県道アイテムというのは極めて貴重であろう。他都道府県でもこれを見習い、続々とこうした商品を開発すべきであると筆者は強く願う。

 (追記2)

 その後、友人O氏から沖縄土産にR58Tシャツをいただきました。南国の海を思わせるコバルトブルーに白抜きの標識が映えており、デザイナーの神の如きセンスと、これを買ってきてくれたO君のスピリットに感涙を禁じ得ない昨今です。

 (2)酷道攻略

 開発されつくし、あらゆるところに豪華な道路網が張り巡らされたかに見えるこの日本にも、山中などには信じがたいような悲惨な道が平然と国道指定されているところがある。これらの道に対し、我々マニアは愛着と若干の畏怖を込めて「酷道」の名を冠しているわけである(なお、ひどい県道は「険道」、府道は「腐道」、市道は「死道」、村道は「損道」と呼んだりもする)。

酷道の一例、R193霧越峠。滑りやすく、見た目よりデンジャラス。

 酷道を走ることは、こんなところにも人が住んでいるのか、なんでこんな道がいまだに残っているのかという、日常を離れた驚きを与えてくれる。また朽ち行くものへの哀惜、人の手によって生み出されながら人の手を離れつつあるものに対してのもののあわれ、そしてスパイスとして若干の恐怖感もそこには含まれる。このへん、廃線跡巡りや廃墟探検といった趣味におそらく通じるものがあるのだろう。

 日本国内における酷道の分布は、完全に西高東低である。平野部の多い関東・東北では道路整備が進んでおり、酷道と呼べるのはR399鳩峰峠・R458十部一峠・R465夷隅付近など数えるほどである。それに対して紀伊半島・中国地方・四国は酷道の宝庫であり、凄まじい道が今でも堂々と現役を張っている。このあたりは名所案内でも取り上げているので参考にされたい。

 いずれにせよ酷道探検はデンジャラスな趣味であり、車体が傷ついたりとか、尖石を踏んでパンクとか、飛び出してきたイノシシと衝突とか、下手をすると谷底に転落とか、どんなことでも起こりうる。R157温見峠「落ちたら死ぬ!!」看板などはあまりに有名であり、シャレで行くところではないことを銘記すべきであろう。十分に心した上、自己責任で臨んでいただきたい。

 (3)非国道活動

 我々は国道を愛好する者ではあるが、あえて国道を避けてみることによって見えてくるものもあるだろう。こうした思想の下に案出されたのがこの「非国道活動」である。要するに、ある地点からある地点まで、国道を一切利用することなく、県道・市道などのみを使ってたどり着けるルートを開拓することである。国道を十字路でまたぎ越えるのは可だが、それ以外で国道上を走ることは一切まかりならないというルールである。

 「そんなもん簡単にできるでしょ」と思ったあなたは恐らく都会在住者であろう。実は山奥に行くと、国道以外に道がないというケースが少なくない。また実は山中では十字路というものがほとんどなくく、ある一本の国道が「壁」となって完全に行く手を遮られることがしばしばなのである。

 研究によれば東京〜仙台間の非国道走行は可能であるが、どうやら東京〜大阪間は今のところルートが見つかっていないようである。中でもR151(長野県飯田市〜愛知県豊橋市)が大きな壁であるようで、某マニアは地図をにらみながら「この小学校の校庭を突破できれば行けそうなんだが……」とわけのわからんことをつぶやいていた。今のところ実際にチャレンジしていないようなのが、救いといえば救いである。

 (4)道の駅スタンプラリー

 国道者にとって、疲れた体を休めるオアシスとなるのが「道の駅」である。食事に、トイレに、温泉に、お土産物調達に、交通情報をゲットするために、あるいは一夜の宿にと、その使い方は無限大である。
 そしてもうひとつマニア心をくすぐるのが、「道の駅スタンプラリー」というやつである。北海道・東北・関東など各地区に分かれたスタンプ帳が用意されており、期限内にスタンプを押した数によって賞品がもらえたりするのである。


関東スタンプラリー帳。マニアを無駄なロングドライブへいざなう「悪魔の手帳」とも呼ばれる。

 完走を狙おうと思うと厳しいのが北陸地区(新潟・富山・福井)で、エリアが東西に広い上、「芸能とトキの里」という超難所(佐渡島!)が控えているためである。また東北地区もエリアが広い上、青森県がネックになるため厳しい。やってみるとわかるが、青森は下北・津軽という大きな半島があるため、非常に回りにくいのである。このためフェリーとタクシーを駆使して下北の難所「道の駅わきのさわ」を撃破した剛の者も存在する。スタンプ一つのためにここまでやれば、もう敬意を表するしかない。

 意外と熱いのが、「一日でいくつの道の駅スタンプをゲットできるか」という遊びである。各駅の開店・閉店時間や道の広さなどのファクターが複雑に絡み、最適ルートを導き出すのはなかなか奥が深いのである。もしこれをやるなら岐阜県がお勧めで、何しろ48もの駅があるので手軽に数が稼げる。筆者は18駅まで回ったが、うまくやれば20以上は簡単に可能と思われる。岐阜の道の駅は焼き物やそばなど名産品が充実しているので、見応えがあるのもよろしい。
 とはいえスタンプ収集ごときで必死に走り回ってスピード違反で捕まるくらいバカバカしいこともないので、十分に心の余裕を持って臨むことをお勧めしたい。

(5)道路元標探索

よく道路に立っている「つくば 15km」とかいう標識。あれはつくばのどこを指しているかご存知であろうか。今はたいてい市役所がある場所なんかを基準としているのであるが、かつては市町村ごとに「道路元標」というものが設置されており、ここを基準として距離を測っていたのである。

 道路元標の総元締めは東京・日本橋にある「日本国道路元標」なわけであるが、さすがに各市町村にあんなきらびやかなものが置かれていたわけではなく、たいていは高さ50cmくらいの石碑みたいな大変控えめな物件である。で、これがどこにあるかを探して回るマニアというのもいるのである。


これは谷田部町道路元標、筆者の一番近所の物件。この独特の形状を網膜に焼きつけるべし。

 明治時代は市町村の区分が小さく、例えば現在のつくば市は20以上の町村に分かれていた。つまりその数だけ道路元標があるというわけである。しかし今の道路法ではすでに必要なくなっているので、工事の際に撤去されたものとか、移設されてしまったものも少なくない。また当時の村の中心地というのは今の繁華街とは往々にしてずれたところにあるので、旧道沿いの古い集落を探すのがコツである。


こういう何気ない街角にあったりするから気が抜けないのである。

 このあたり地図を見るもよし、図書館で調べるもよし、土地の古老に訊くのもまたよし。郷土の歴史に触れられるよい機会でもあるだろう。このあたりのページが詳しいので、興味ある方はどうぞである。


 この他にも濃い国道プレイはいくつも存在するが、それはまたの機会に譲ることにしよう。もちろんドライブの楽しみ方は人それぞれだろうが、単に目的地を訪ねること、スピードを出すことといった楽しみだけでなく、単に手段としか思われていない「道」そのものに目を向けることで、走りの楽しみは何倍にも増えることと思う。
 かの鉄道紀行文学の第一人者・宮脇俊三氏は、「鉄道を知ることで『点の旅』が『線の旅』に変わる」という名言を残している。ドライブもまた同じことであろう。この小文が、読者諸賢の「線のドライブ」の楽しみを発見する手助けになれば幸いである(こんなこと誰もやらねーよとか言うな)。

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