☆悪魔

(前川淳・作、「ビバ!おりがみ」より)


   (折り紙用紙、それぞれ35cm(青)、24cm(赤))

 おりがみギャラリーのトップバッターを務めるのは前川淳氏の代表作「悪魔」です。曲がったツノ、性悪そうな面構え、翼、矢印型のシッポ(写真では隠れてますが)、そしてなんといっても折れ曲がった5本の指が迫力を盛り上げます。もちろん不切正方形1枚折りです。

 この「悪魔」は「設計」という手法から生まれています。「設計」というのは作品に必要な数と大きさのカド(例えばツノ、しっぽ)を合理的に1枚の正方形に割り付け、取り出すという方法論で、1982年にその著書「ビバ!おりがみ」にて発表されました。この本が後世に与えた影響は絶大で、折り紙界に革命をもたらしたといって過言ではありません。そしてこの「悪魔」は折り紙設計の象徴的な存在であり、金字塔といえる作品です。

 その後の折り紙の技術の進歩は目ざましく、今ではこの「悪魔」をさえはるかに凌ぐような超複雑な作品が次々に発表されています。それでも今なおこの作品が輝きを失わないでいるのは、単に必要なパーツを取り出したに留まらない全体のバランスのよさ、正方形を生かし切った作品としての美しさに起因していると思っています。

 なお作者の前川氏は2007年になり、なんと24年ぶりの作品集「本格折り紙―入門から上級まで」を上梓しました。代表作であるこの「悪魔」の他、「ティーバッグのトナカイ」なども収録されており、ファンなら必携というべき内容です。「本格折り紙」という一見シンプルなタイトルの背後に、前川氏の炎の如き創作者魂を感じてしまうのは筆者だけでしょうか。

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