国道156号線を行く・その1

 自分で走ってみてわかることだが、日本という国は案外広い(「走ってみなくてもわかるだろ」とか言わないように)。この一見狭い島国の中に大都会やら雪国やら原生林やらいろんなものが詰まっているわけで、そうした違うキャラクターの地域を結んで走る路線はそれだけでも走って楽しく、筆者にとって旅情を誘う存在なのである。

 というわけで筆者が今回走りに行ったのは国道156号。全長213.3kmのどこを走ってもそれぞれに魅力に富んだ、なかなかにエクセレントな路線である。岐阜県岐阜市〜富山県高岡市という関東人にとってはなかなか訪れにくいポジションではあるが、あえてそれを乗り越えさせるだけの魅力を備えている国道だ。

 今回はゴールデンウィークのさなか、高岡市側からのアプローチを試みた。データによれば終点は国道8号の「四屋」交差点ということになっている。ちょいと西にはR160(〜石川県七尾市)の終点も存在し、こちらの名前は「四屋IC」。終点キロポストがあるのは「交差点」であるので、まあこちらをR156の終点と見て間違いないであろう。


四屋交差点。都市近郊のイメージでスタートする。

 高岡市は今では珍しくなった路面電車の走る町であり、R156にも並行して線路が走っている。地元民は平気で線路上をバンバン突っ走っているが、慣れない者にとってはちょっとドキドキする行いである。

広いバイパスに出てしばらく走り、砺波市内に突入する。この時期砺波といえばチューリップで、市内のあちこちに植えられた色とりどりのチューリップが美しく咲き誇っている。特に今年は合併による新市誕生記念ということで、道の駅近くではチューリップフェアなるものも開かれにぎわっていた。しかしチューリップという花は色といい姿といい単純明快で嫌みのない美しさであり、町のイメージ作りとして非常に成功しているように思う。


国道沿いにもチューリップが並ぶ。一見の価値あり。

 この後読者の方からお勧めいただいた洋食屋さんで、窓の外のチューリップを眺めつつオムライスをむさぼり食う。これだけでも5月にこの町に来た甲斐があったというものだ。

店を出た後、残雪の映える立山連峰を眺めつつ4車線のバイパスを快適に流す。ここで現れるのが「道の駅庄川」なのであるが、ちょっと脇道に入ったところにも「道の駅井波」があり、2つの駅の距離は約1.4km。筆者認定・日本一近い道の駅である。これを含め、R156は非常に道の駅が多い路線なのである。なお「平成の大合併」により庄川町は砺波市に、井波町は南砺市に吸収され、自治体の名前としては今は両方とも消えてしまっている。


道の駅井波。木彫品が見応えあり。まあ何も買わなかったけど。

 道の駅を出てしばらく行くと標高が上がり始め、急に山岳路線の趣となる。山肌に残る雪が融けてあちこちで小さな滝を作っており、山国の遅い春の訪れを感じさせる。夏や秋ももちろんよいだろうが、雄大な景色を楽しむならこの時期が筆者のおすすめである。


新緑にオレンジが映える大渡橋。

 この道は北陸と名古屋方面を結ぶ数少ないまともな路線であるため、結構大型ダンプなんかも多く走っている。25km/hくらいで黒煙をもうもうと上げながら後ろに数十台を従えて走っているダンプもおり、こういうのの後ろについてしまったらあまりイライラせずのんびりとくっついていくしかない。スノーシェッドやトンネルなどで見通しが悪い部分が多く、追い越しが難しいので無理は禁物である。しかしトラックの運ちゃんも、もうちょっと気を遣ってくれてもよさそうなものだが。

 そういう場合にはどこか休憩所にでも入ってやり過ごすのが一番、ということで「道の駅たいら」にエスケープ。ここの目玉は五箇山特産の和紙で、100%のコウゾを原料に丈夫でしなやかなつくりが売り物である。店内には様々な和紙製品が展示されており、折り紙も趣味である筆者にはなかなか居心地の良い空間である。レジでは展示のための折り紙作品を作っているお姉さんがおり、本を見ながら悪戦苦闘していたので「そこは中割折りですね、僕に貸してみてください」とカッコよく手助けしてあげたくなったが、たぶん傍目からは極めて怪しい行いなのでやめておいた。


道の駅たいら。そば・岩魚・豆腐など食事も売り物。

しかし和紙をテーマにした道の駅は全国に結構数があるので、こういうところでひとつ折り紙作家の作品展でも開いてみてはいかがなものだろうか。紙という素材の魅力をアピールするなら、これこそうってつけであると筆者は思う。もし企画されるのであれば、筆者がいくらでも凄い作家を紹介して差し上げますので道の駅関係者の方はぜひご連絡を(たぶんないだろうと思うが)。

 さてこの道の駅を出たしばらく行ったところに、平村(現在は南砺市の一部)の中心集落を見下ろせるポイントがある。谷底に民家や学校がひっそりと身を寄せ合う感じに固まっており、いかにも隠れ里の風情である。この雰囲気とこの名前、もしやと思って調べてみたらやはり平家の落人が切り開き、隠れ住んだ村という伝承があるのだそうである。R156はこの集落に向かって急な斜面を下り、市街を抜けて再び登りに入る形になっている。


向こう側の山からはR304が下ってきており、平村中心で合流する。

 ここを抜けるといよいよ世界遺産・五箇山合掌造集落が見えてくる。筆者も立ち寄ろうと思ったのだが、連休のさなかということで観光客が多く、入り口には警備員が無愛想な顔で「満車」の札を掲げて立ちはだかっていた。まあR156からでも集落全体を見下ろすことはできるので、高いところから失礼して写真を一枚。


……うーむ。

 まあ近くから見ないで言うのもなんだが、きれいに保存されすぎていて、なんだか映画のセットを見ているような印象であった。もっとひなびた「生活感」のあるたたずまいを想像していたのだが、まあこんなのはよそ者の勝手な思い込みなのだろう。

というわけでパート2に続く。

 

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