国道339号線を行く(3)

 ということでR339編その3(その1その2はこちら)。いよいよメインディッシュの階段国道である。

 この階段国道というやつ、テレビなどでも何度も取り上げられているので国道マニアならずともご存知の方が多いと思う。まず日本国道界最大の名所といってもよいポイントである。見ての通り、竜飛岬の崖上から漁村へ向かう362段の階段が、どういうわけか国道指定されてしまっているのである。


名物・階段国道。

 日本広しといえども、階段の国道というのはここにしかない。こんな変なものができたのは「役人が現地を見ずに地図だけ見てここを国道に決めてしまったため」という話が一般に流れているが、どうもそうではないらしい。1974年にここが国道指定された時はただの急坂であったのだが、近くの学校に通う子供たちの安全のために後から階段が作られたというのが真相のようだ。実際、階段の途中には学校の跡地も残されている(現在は廃校になっているらしい)。


オレンジが国道、灰色が階段部分、緑色が国道部分をつなぐ車道。

 もちろん階段部分は車では通行できないが、近くに車道(国道指定されていない。上図参照)も造られているので、国道としての機能は果たしていることになる。もちろん本筋としてはこちらの車道を国道とし、階段は町の管理に任せるべきなのであろうが、まあせっかくの唯一の階段国道として有名になったことでもあるし、整備して観光地にしてしまえ、ということで現在に至っているようである。実際、久々に行ってみたら以前よりさらに観光地化が進み、結構な人が訪れているようであった。


記念撮影にいそしむ観光客の方々。右の看板なども新しく建てられたものらしい。


階段国道のちょっと上にある。対抗せんでもよろしい。てかここはもう村じゃなく町になってるわけだが。

 てことで階段国道にアタックしてみる。手すりなどしっかり整備されているし、両脇にはアジサイがずっと植えてあるのでシーズンにはなかなかきれいだろう。


海が見えて眺めよし。ちなみに青森湾側の海なので、大変静かです。


階段国道定番のショット。説明の看板もいつの間にか付け加えられたらしい。

 看板によると階段国道は全長388.2m、362段、標高差70m。ご覧の通り結構急で長い。というわけで上の方だけちょろっと見て「ああ階段ねはいはい」と言って終わりにしてしまう人が多いのだが、実はこの階段国道、ここからが味わい深いのである。

 階段を下りきったところで、民家の間の路地に入り込む。漁師さんの家らしく、網なんかが干して掛けてあるが、ご覧の通り驚くべき狭さである。


国道ですよー。


ここも国道ですよー。


しつこいようですが国道ですよー。

 とにかく冗談みたいに細い、家の軒先みたいな間を抜けていく。なんか他人の庭に入り込んで勝手に写真を撮ってるようで気が引けるのだが、これも天下の国道なんだから仕方ない。もちろん車どころかスクーターでの走行すら困難で、はっきり道幅が決まっているところとしては日本国道最狭区間だろう。


ほれ見ろ、国道だ。

 ま、いい運動にもなることだし、ここまで来たら階段全てを上り下りし、一度はこの変態国道を満喫しておくことをおすすめしたい。車のスムーズな通行のために造られる国道がこういう妙なことになっているという、人の営みの不思議さを深く心に吸い込んで帰るのも乙なもんだと思うのである。

 階段を過ぎてからは、まあ普通の国道になる。あまり広くはないが、車がすれ違えるだけありがたいと思えるから不思議だ。時々静かな青森湾が望めるので、車を下りて海の男ポーズで夕日を浴びてみたりするのも一興である。


素朴な雰囲気の道。すぐ左手は海である。

 後は海沿いを淡々と走り、三厩漁港の前で道は国道280号(青森県青森市〜北海道函館市)に切り替わって終了となる。終点には石碑及び看板も設置され、わかりやすくなっているのは評価に値する。R280になったとたんに道のグレードがぐっと上がるのはご愛敬である。


漁港の前に立つ終点の看板。何だこのぶさいくなおにぎりは。制作者は反省しなさい。

 ということで全線走破を完了した。筆者は青森の風景というのはとても好きで、本州で一番美しいかもしれないと思っている。八甲田山もいいし、奥入瀬ももちろん美しい。でもこのR339沿線も海あり山あり湖ありで、それらに負けない魅力のある道だと思うのである。
 そんなドライブルートとしての楽しみに加え、階段国道というマニア垂涎のポイントまで加わっているわけである。この魅力的な路線が、気軽に走りに行けない場所にあるのは非常に惜しいところだ。とはいえ走りごたえは十分、東北遠征の際には気合いを入れていっちょコースに組み込んでみていただきたいと思うのである。

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