国道339号線を行く(1)

 筆者はそれなりに全国を走っているのだけど、ここでレポートしているのはほとんど関東近辺の路線だ。いや、前々から書きたいと思っていた道はあるのだけど、何しろ遠いので機会がなかなかなかったのだ。が、今回ようやくひとっ走りしてきたので、宿願を果たして公開してみよう。本州の北の最果て、国道339号線である。

 R339は、青森県弘前市から青森県外ヶ浜町を結ぶ、全長108.4kmの国道である。津軽半島日本海側という大変演歌ライクな場所を走り抜け、北の外れと見知らぬ人が指をさす竜飛岬まで到達する。地図でいうとこんな感じである。
 この道、国道界の全国最大の名所といってもいい「階段国道」を擁しており、自然注目はそこだけに向きがちだ。が、実際には全線にわたって風景も美しければ走りごたえもある、ドライブ好きならたまらない路線でもある。

 ということで起点は、弘前市の「運動公園前」交差点である。といってもこの交差点、見た目にはR7(新潟県新潟市〜青森県青森市)からR102(弘前市〜十和田市)が分岐しているだけだ。R339はここからしばらく、ゴージャスな作りのR7弘前バイパスと重複して北へ進む。


国道102号側から、高架の国道7号を望む。ここから見て右方向にR339はスタートする。

 まあしかしこういっちゃ何だが、弘前というところは予想していたより遥かに都会だった。やっぱりこういう城下町というのはそれなりの伝統の底力があるのだな、と思う。

 4車線の弘前BPを7kmばかり北へ向かい、藤崎町で分岐してR339単独区間に入る。ここから五所川原市内まで、R339はどういうわけかずっと旧道とバイパスが二本立てで並走する。普通バイパスが完成すると旧道はさっさと県か市へ払い下げになるのだが、ここは五能線を挟んで20km近く、新旧2本が国道として指定されたまま並行している。わりと珍しいケースに属するだろう。
 もちろん走るだけならバイパスの方が広く走りやすいのだが、こちらはまあごく普通の国道だ。ドライブする身としては、西側を走る旧道の方に行ってみることをお勧めしたい。一面のリンゴ畑の中、左手に津軽の秀峰岩木山を望んで走ることができ、青森気分を満喫できる。


リンゴ畑の中を行く。霞んで見えにくいが、遠くに見えるのは岩木山。
村下孝蔵の「踊り子」なんかを思い出してしまう筆者は古い人間。

 板柳町を経て鶴田町に入ると、「道の駅つるた」があるのですかさずピットイン。


リンゴグッズ満載の道の駅。

 この鶴田町はかつてはツルがたくさん飛来したことで有名で、町内には鶴泊駅、つるのこ保育園、鶴寿公園などツルに関した施設がたくさんある。もしツルの町として売り出したいのなら、こんな作品をイメージキャラとして採用してはどうだろうか、と筆者は提案しておきたい。

 ちなみにこの鶴田町、かつて隣の板柳町と合併する話があり、新市名として「あっぷる市」が強く推されていたらしい。しかし毎度思うことだが、合併新地名をつけようというジイサンたちは、どうしてこう気を失うほどセンスがないのだろうか。実現していたら「つくばみらい市」を上回るぶっちぎりの日本最強恥名が誕生していたところで、両町民の方々は心から胸をなで下ろしているのではあるまいか。基本的に敬老精神に富んだ筆者ではあるが、この場合に限っては「取り返しのつかんことをするなジジイども」と一言申し上げておきたい。

 さらに北上して五所川原市の中心市街を抜けると、異様に大規模なバイパス区間に入る。さらに建設中の「津軽道」が行く手をまたぐように見えてくる。


R339五所川原北BP。盛り土は建設中の津軽自動車道。

 が、ご覧の通り交通量はなく、対向車は悠然と走るトラクター1台きりであった。筆者は地方の道路状況もあちこち見ているので、造るべき道路は造ればいいと思っている。が、さすがにこの風景を見た時には、ザンテーゼーリツとかドーロトクテーザイゲンというキーワードが脳裏をかすめずにいられなかった。こういうのは誰がどういう基準で建設を決めているのやら、情けなくなる話である。

 中泊町を過ぎ、太宰治の出身地として知られる旧・金木町(現・五所川原市)に入る。ここは太宰の記念館やら銅像やらがあり、「走れメロスマラソン」なんてものもやっているらしい。ブンガクにうとい筆者にはわからんのであるけど、太宰ってのはその方面の人にとっては永遠のカリスマなのだろう。


R339を見下ろす太宰様。足元ではメロスが走ってます。

 ちなみにR339を北上すると、五所川原-中泊-五所川原-中泊という変な順序で町が現れてくる。なんかかつての野村阪神の「遠山-葛西スペシャル」みたいだが、これは「平成の大合併」で津軽半島の市町村が非常に奇妙なくっつき方をしたことによる。下の地図をご覧いただければわかる通り、津軽半島では合併話がいろいろもめたらしく、五所川原・中泊・外ヶ浜の3市町が飛び地になってしまっているのである。


津軽モザイク合併の図。

 まあ隣接自治体というのはえてして仲が悪かったりするし、財政問題とかいろいろあったんだろうが、いくら何でもこりゃねえよなと思う。地元民は面倒だろうし、よそ者は混乱するばかりだ。まあ合併なんてものは、えてしていろんなところに傷跡を残すもんではあるが。

 てなことでパート2に続く。階段国道編のパート3はこちら。

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