☆ティラノサウルス全身骨格

(吉野一生・作)


(彩雲紙、15cm×15cm×21枚)

 この作品を初めて見たのは今から10年近くも前になりますが、その時の驚愕と衝撃は今でも忘れられません。とにかくこの作品だけはなんとしても折り上げたい、と強烈に思ったことを記憶しています。

 この作品は1枚折りではなく、同じ大きさの正方形21枚から作ったパーツを組み上げて作ります(恐ろしいことにこの作品だけで一冊の本になっているほどです。「ティラノサウルス全身骨格折図&正体折図」、おりがみはうす刊)。有機的な曲面の頭部、ゴツゴツととがりの多い首、メカニカルな折り方の尾部などが巧妙に組み合わされ、全体として生き生きとした恐竜(骨ですが)の姿をみごとに再現しています。


頭部から見たところ。

 作者の吉野さんはこの作品のために博物館に1年ほども通い詰めたそうで、それだけに細部の完成度も凄まじいものがあります。ずらりと牙の生えた口、飾ると見えなくなるような肋骨の内側、ひと節ずつきちんと分かれた尾骨など凝りに凝っていて、完成には相当に手慣れた人でも一週間近くかかります。針金での補強のしかたや飾り台の作り方まで指示されていて、まず絶後とはいいませんが空前の大作であることは間違いありません。

 残念ながら作者の吉野一生さんは、1996年にわずか32歳の若さでガンのためにこの世を去られています。残された作品はいずれもその天才を示して余りあるものばかりで、氏の才能と人柄を惜しむ声は今でも絶えません。

 

 次の作品

 折り紙の部屋に戻る