☆空間如来

 (北條高史 作・制作)


 まずは細かい説明抜きにじっくりとご覧下さい。とにかくすごい出来映えです。恐ろしいことに全体が1枚の正方形を折るだけでできています。こうなるととうてい筆者ごときの手に負えるものではなく、北條さん自身の制作になるものです。

 作者の北條さんは東大大学院時代、人気番組「TVチャンピオン」で第2回折り紙王選手権者に輝いた実績の持ち主。現在は筆者と同じつくば市在住で、筆者の商売敵の会社の研究所に勤務しておられます。特に人物造形の名手として知られ、その作品は海外でも高い評価を受けています。この「空間如来」に関しては作者本人のコメントをいただきました。


 西川誠司氏による「手のひら」の技法と自作の「親指」の技法を融合させた「手」を初めて使用した、思い出深い作品。地面との接触部分を点支持にすることによって、軽く風通しのよいイメージを表現できたと思う。  

 光背と蓮台は「空間的かつ無理のない表現として」満足のいく仕上がりとなったが、人物部分本体は紙を粘土のように扱おうとする昔の自分の作風を引きずったものとなってしまった。また何年かしたら改良策が突然浮かぶかもしれないが、とりあえずの現在形である。


 ということです。こういった技術の交流によって折り紙の表現力は年々加速度的に向上しており、いまや筆者にさえ想像を絶する領域に入ろうとしています。  

 折り紙に対するアプローチ、スタンスは人によっていろいろでしょうが、「不切正方形一枚折りの極限の追求」は王道中の王道といえるテーマです。この作品はその王道の、現段階での最前線、最先端を行くものといっていいでしょう。次回作を楽しみに待ちたいところです。

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