国道469号線を行く・その1

 「国道というのは増えているのか」という質問をよく受ける。答えは増えているのである。ただしのべつまくなしに増えるのではなく、10年に1度くらいの割合いで全国一斉にごそっと増える。最近では1993年にR450からR507までの58本が新たに国道の仲間入りをした。

 この増加分というのは新しく道路が作られることもあるけれど、たいていはそれまでの県道などの道が昇格して国道になるケースがほとんどである。で、ここらに一本国道がほしいけどあんまりいい道がねえなあという場合には、そこらの近辺にあるしょぼい道を寄せ集めて適当に国道に決めて、後から拡幅したりバイパスを作ったりしてそれらしい道に形を整えるということが行なわれる。迷い込むものを驚かせる名ばかりの国道というのはこうして誕生するわけだ。

 今回取り上げるR469もそうした道の一つである。93年に昇格したばかりのこの道は整備も進んでおらず、その変ちくりんさ加減は関西のR477とともに東西の両横綱との呼び声も高い(R477の方が凄いけど)。何がどう変なのか、早速スタート。


 R469は静岡県御殿場市から山梨県富沢町までを結ぶ全長60.6kmの国道で、要は富士山の南を東西に走る道路だ。観光地化された富士五湖周辺とは違い、静かな高原地帯を走り抜けて行くといえば聞こえはいいが、早く言えば何もない田舎道である。  

 起点は御殿場市仁杉、R138から分岐する。観光道路としてよく整備されたR138とはうって変わって、なんともしょぼい裏道としてR469はスタートする。


起点の仁杉交差点。まあそこらの横丁と変わりない。

ここで目的地をR469終点に設定してカーナビにルートを検索させると、驚いたことに第6候補までにR469ベタというルートが出てこない。うーむ、カーナビもR469(特に後半)が使い物にならない道であることはちゃんと承知なのだ。

しばらくは商店が立ち並ぶごく普通の道が続くが、この道には市街地といえる場所が極度に少ないので、買い物などしておくなら今のうちだ。


「ここから」ということは、ここまではいたわらなくてもよいのだろうか。

 裾野市に入るあたりから様相が変わる。いくつか観光牧場などを過ぎた後、突然に日本離れした雄大な大草原が出現するのだ。これはちょっと印象的な光景で、よく車のCMなどに使われていたりする。夏場の一面の緑、秋のススキの野原、冬の荒涼とした眺めなどどれをとっても凄い風景で、ぜひ一度行ってみることをおすすめする。


一面のススキの中を駆け抜ける。右手には富士山も望める。

 実はこのあたり、日本離れしているのも道理で、自衛隊の東富士演習場のど真ん中なのだ。実際この近辺には隊員を満載したジープやら軍用車やらがよく走り回っている。あまり悠長に写真を撮っているとスパイと間違われて撃ち殺されそうなので、さっさと脱出することにする。

 演習場を過ぎた後は上り坂となり、えっちらおっちらとヘアピンを駆け上がる。登り切った後は爽やかな空気と美しい杉林の待つ十里木高原に出る。ここらは道も広く、車も少ないので爽快に飛ばせる。ドライブってのはこうでなくちゃ、という感じだ。


高原を貫く一本道。北海道を思わせる風景。


この国道の前半はほとんど富士山を拝める。前半は天国、後半は地獄なのであった。

 しかし快適な道はここまで。いや、快適な道は続いているのだけれど、そちらは県道24号と名前を変えて南へ行ってしまう。肝心のR469はというと、突然右折して、とんでもなく暗くて心細い杉林の中に叩き込まれてしまうのだ。道幅もすれ違うのがやっとの林道レベル。それまでとの落差は凄まじく、一体何が起こったんだと愕然とすること請け合いだ。


うおおっ、せめえー!舗装が新しいのが唯一の救いだ。

 くねくねと曲がる狭い道に耐えていると、また突然視界が開けていい道に出る。お、よかったよかったと思っていると再び杉林。これを2〜3クール繰り返す。からかってんのかこの野郎、という感じである。あぜ道みたいな区間もあって、なんだか他人様の畑を荒らしているかのようで気が引けてしまうが、まあこれも国道なのでしょうがない。

 というわけでこの後はその2に続く。ズッコケ国道(死語)R469が真に本領を発揮するのはここからである。

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