国道469号線を行く・その2

 さてR469の旅も後半に入る。富士宮市に入ってしばらく、久々に市街地らしき場所に出る。しかしここにトラップが仕掛けられているのだ。問題の場面は下の写真。


人呼んで富士宮ファミマトラップ。

 なんてことのない変則十字路に見えるし、案内の看板はないのでたいていの人が直進するがこれは間違い。かといって右折でも左折でもない。じゃ何なのかというと、実はこの位置からは全く見えない場所にもう一本道があり、そこへ向かって鋭角的に右折するのが正解。こんなもんわかるかボケ、というひどい交差点である。最近になって下右写真のような補助標識がつけられたが、これでも一見さんにはちょっとわかるまい。


上の写真のドラッグストア付近から撮影。向かって右の道から来て、車が2台いる左の角へ曲がる。わかるわけねーだろ。

 富士宮トラップをクリアした後しばらくは、センターラインのあるまあまあまともな道が続くが、ここらあたりからカーナビは必死に進路を他の道にそらそうと誘導を始める。普通のドライブであればR139にでも逃げるのが賢明であるが、アホな筆者は制止を振り切って最後の修羅場に突っ込んで行くのであった。

 芝川町に入って県道75号とからむあたりから雰囲気がおかしくなる。案内はあるから迷いはしないが、え?こんなとこ入るの?というような場所を曲がらされ、ついには集落の中を通り抜ける、鼻血が出るくらいしょぼい生活道路に成り下がる。どう見たって車一台分の幅しかないのだが、またこういうとこに限って対向車が来やがったりするので、民家のガレージまでフル活用して離合を果たさなければならない。「これが国道?」度においては東日本でもトップクラスに属する区間であろう。


写真で見るとそれほどでもないが、実際に見るとめちゃめちゃブルーな気分になれる。

 この区間をひーこらいって抜けると、今度は山道になる。その名も「桜峠」。道は相変わらず狭く坂も急だが、さっきの集落よりはましだ。人工的な桜並木ではないのでびっしり桜のトンネルというわけにはいかないが、春に通ればそれなりに風情のある情景ではある。


桜峠。R469ではこの他富士宮の大石寺付近も桜の名所である。

 峠を下り切ると芝川を渡る。これがまた念の入ったしょぼい橋なのであった。慣れていない人が見たら国道の概念がひっくり返りそうな情けなさである。こういうところはたいてい国道であることを隠そうとして案内がなかったりするのだが、ここでは「なんか文句あるんかコラ」といわんばかりに思いきりおにぎりが立てられている。なかなか潔い態度だ。


それでも臆することなく国道標識を立てている根性だけは評価できる。

 この後しばらくR469は芝川沿いを走る。しかしこの区間、民家がないわけでもないのに、どういうわけか実にうら淋しい雰囲気が流れている。廃坑の街に似た雰囲気、といえば伝わる人には伝わるだろうか。通るたびこの悲しい空気はいったい何なのか考えてしまうが、いまだその正体を確かめられないでいる。


うち捨てられた町のような、理由不明の哀しさが漂う。

 R469は再び芝川を渡り、最後の上り坂に入る。この渡るところの手前には案内が何もなく、ミスコースポイントの一つになっている。もう案内すら投げやりになっている感もなくはない。意外に急な峠道をよっこらせと登り切るとそこは山梨県。この国道は95%が静岡県内を通るのだが、最後だけちょこっと山梨県区間があるのである。


山梨県境の看板。奥の黄色い看板には「十島芝川線は豪雨の際通行止め」みたいなことが書いてある。この道が県道であったころの名残りらしい。

 あとは特に言うこともない。富士川を渡って(これは立派な橋)すぐのところで国道52号線(静岡県清水市〜山梨県甲府市)にぶつかり、ジ・エンドとなる。前半車窓を飾ってくれた富士山は山並に隠れ、ここからは見えない。


終点からR469方向を振り返る。この位置からは見えにくいが、富士川の広大な河川敷が望めてなかなか雄大な景色。

 というわけで全60.6kmを走り切った。なんか距離のわりにえらく疲労感の残る国道である。いろいろ書いてはみたが、特に芝川町内の情けなさはほとんど伝わった自信がない。ここはぜひ各自で走り込んで、あきれるなりガッカリするなりしてほしい。

それでもR139以東はずいぶんと改良が進みつつある。富士宮トラップ付近も地図上にはバイパスの予定線が引かれているので、いずれここらは国道ではなくなるのであろう。杉林を抜けるクソ細い区間も順調に工事が進んでおり、数年のうちにはすっかり快走路に変貌しそうな勢いである。ゴルフ場や別荘地などもあるようなので、ここらの整備が優先されるのは当然であろう。

結論を言えば、今がこの国道を楽しむ「旬」である。「さっきまでのアレがなんでこうなるんだよ」的な感覚はまさに今でなければ味わえない。ファンなら早いうちに一度はこの国道を走っておくことをおすすめしたい。そうでない方にも、東富士演習場の豪快な眺めはまず一見の価値ありである(できれば晴れた日)。たまにはちょっと変わった道を走ってみたいと思っているあなた、一度訪れてみてはいかが。

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