国道293号線を行く・その1

 さて長らく中身の更新をさぼっていたこのコーナー、そろそろ春になることだし、どこかの国道をまた取材をしてくるかという気になった。地図をにらむことしばし、R293に決定。春風の吹き始めた3月4〜5日、愛車を飛ばして全線を走ってきたのだった。

 R293は栃木県足利市から茨城県日立市までを弧を描くようにして結ぶ、全長165kmの道である。もちろんこれだけの距離を走る道であるから、市街地も通れば山も越えるなど全線にわたって様々な表情を見せる。それでもあえて一言でこの道を表現するなら、「北関東」という一語が一番適切かと思う。何が北関東かはおいおい語るとして、さっそくドライブレポート開始。なお、この道の名所案内には山本@とちぎ氏に協力をいただいた。感謝。

 R293は足利市「公設市場前」交差点でR50から分岐してスタートする。今まで取り上げた国道の起点は「どうもここらしい」とか「見た目はここだが法律上はここ」とかややこしいのが多かったが、R293の場合は間違いようもなくこの交差点である。何せ「ここから」の標識が立っているのだから、政府の保証付きである。


こいつぁわかりやすい。反対側には「ここまで」の標識もある。

 これに限らず栃木県の案内標識の親切さは関東随一である。この親切さ加減は後に鹿沼市内で爆発することになる。


市街地を走る立派な2車線道路としてR293は始まる。

 足利市内でこちょこちょと右左折を繰り返すこと数回、それまでの立派な道が突如地味な道に変わる。まあ3ケタ国道にはありがちなパターンだ。


足利市内にはこうしたガードレールに貼られたおにぎりマークが存在する。三重県でよく見られるが、関東では栃木くらい。

 R293は基本的に関東平野の北辺をなぞるように走っている。そのため山岳路とまではいわないものの、標高100〜200m程度の峠をいくつか越えていく。そのトップバッターは足利と佐野をさえぎる越床峠。ここも5年ほど前にトンネルが開通し、通過はあっという間である。ここに限らずR293の峠は全て整備が進んでおり、走りやすく改良されている。

 しばらく走り、葛生町に入る。ここらは石灰石の産地であり、次々と山が切り崩されて石灰が運び出されている。このため道路はトラックだらけ(しかもどう見ても過積載)、こぼれた粉のため建物も緑も白っぽくくすんでしまっている。「粉じん公害をなくそう」「静かに走ろう葛生の町」といった立て看板も多く立っているが、まああまり効果はなさそうだ。このへんの埃っぽい空気というのが、わかる人にはわかる北関東テイストなのであった。


石灰の山。心なしか風景も霞んで見える。

 そんな街の中を走っていると突然変な人形が現れた。どうやらここらは葛生原人と呼ばれる類人猿の化石が出土したところであるらしい。


おおお。しかしなんとも稚拙な造りだ。クリスマスにはサンタのコスプレをして道ゆく人を笑かしてくれるそうである。

 筆者は考古学には興味がないので、粉じんを避けてさっさと脱出。といっても石灰岩地帯はこの後栃木市あたりまで続いていて、前後をトラックに挟まれながら走ることになる(泣)。

 鹿沼市まで来てようやく一息。このあたりは日光例幣使街道と呼ばれていたあたりで、大谷石をふんだんに使った建物が並び、それなりに旧街道の風情を残している。


おおっ何じゃこりゃ、と思ったら材木屋さんの看板?らしい。こういうのはいくらぐらいするんでしょうね。

 さてそうこうしているうちに東側からR352が合流、さらに北上して鹿沼の中心街に入るあたりでR121が合流し、3重複地帯になる。ここは3本の国道がきっちり表示されている珍しい場所で、人呼んで鹿沼おだんご天国。たいていは一番若い番号だけを表示してお茶を濁しているケースがほとんどの中、見上げた心意気といえよう。


こんなとんでもない青看なんて日本中探してもここだけです。

 

 3重複地帯は市街地の1kmほどで終わり、再びR293単独区間に戻る。この後宇都宮市の北部をかすめるが、ここらは石材として有名な大谷石の産地である。鹿沼市内からそうだったが、そこらじゅうの家や塀がみんな大谷石。ゴミ集積所まで大谷石なので笑ってしまう。


打ち捨てられた廃材の中に七福神。顔で笑って心で泣いているのか。

 やがて道はR119(栃木県宇都宮市〜日光市)とクロス。日光杉並木として有名な道だ。


R119との交差点は「徳次郎」。昔徳次郎さんが住んでたのだろうか。しかし実はこれ「とくじら」と読むのである。トリッキー。

 さらに進み、上河内町から氏家町に入るR293はここでR4と1km程度重複する。いうまでもなくR293全線で最も立派な区間だ。ちなみに分岐した後のR293は氏家バイパスという名前になっているので、この区間にも旧道があったことになる。地図を見ると現在県道118号〜48号になっている道に路線バスが走っているので、たぶんこれが旧R293なのだと思われる。こうして旧道の路線を探り当てるのもまた我々国道者の通な楽しみ方のひとつなのである(それの何が楽しいのか、という質問は却下)。


重複区間は4車線の広い道。やはりここは1ケタ国道の風格というものであろう。

 これ以降はその2で。

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