国道254号線を行く・その1

 関東の国道を中心に取り上げているこのコーナー、よく考えてみれば東京都心には一切近づいていない。都心から出発する道なんてのは当然全て幹線道路であり、どこまで行っても住宅地・商店街・バイパスで、筆者に言わせれば個性というやつが感じられないのである。そんな中で唯一山あり谷ありのドラマ性ある道を挙げるとしたら、やはり国道254号ということになるであろう。

 国道254号ってどこ?という方々も多いだろうが、「川越街道」といえば関東人ならたいていご存知だろう。東京から埼玉西部を目指す数少ない幹線道路として、ラジオの渋滞情報で常連になっているアレである。が、その川越街道、実は長野県松本市まで延びているのである。全長は226.1km、3桁国道としては実に堂々たる代物だ。春到来、全国民が待ちに待った国道シーズン開幕の時期に走るには大変ふさわしい。ということで3月下旬、筆者はまたも愛車アルデオを駆って西へと向かったのであった。

 で、国道254号の起点はここ、文京区は本郷交差点である。天下の東京大学や東京ドームも間近、花のお江戸のど真ん中というやつである。今まで取り上げてきた国道の中で、間違いなく一番華々しいスタートである。


向かいには交番もあるが、そんなもんに脅えていては国道マニアは務まらない。

 ということで見ての通りR254は「春日通り」を名乗って一路西へ向けてスタートする。片側2車線が確保されているとはいえ、立派な道が多い都内では特別目立つ路線というわけでもなく、まあ「キン肉マン」でいえばカナディアンマン程度の存在感といっていいであろう。お茶の水女子大やらサンシャインシティやらを左右に見つつ進み、池袋で山手線と明治通りをまとめてまたぎ越える。この陸橋は立体交差の上、首都高5号線などもからんでいてわかりづらく、こういう道に慣れていない田舎者の筆者などはこういったポイントに来るといまだにドキドキする。しかしこの陸橋、「六ツ又陸橋」という名のわりに5差路にしか見えないのはいったいなぜなのだろうか。


マンションの間を縫う、いかにも東京らしい道。

 というわけで40分ほど走ってようやく都内を脱出し、埼玉県内に突入する。R463〜R16の区間は、有料バイパスである富士見川越道路と併走する。料金は200円であるが、途中怪しげな動きをする地元車にくっついていくと、うまいこと料金所を回避できたりする。ちなみに平成21年8月から無料開放される予定だそうである。

余談ながら東側にはやはり関越道が併走しているが、こいつも当初はR254であったことはご存知だろうか。この練馬〜川越の区間は当初、R254バイパス・東京川越道路という名前で建設され、後に関越道の一区間に組み込まれたのである。こうして道路は次々に作られるが、それでも渋滞は続くからしんどい話である。

 本家R254にはこんな石碑も建てられている。古い町並みの残る小江戸・川越をアピールすべく、このあたりの整備にはなかなか気合いが入っている模様である。江戸時代にはここまでが「川越街道」、ここから群馬県藤岡市までが「児玉街道(児玉往還)」と呼ばれ、当時から中山道の脇往還として栄えていたらしい。


「どうじゃ、ボケ」くらいの存在感。


「陽気な旅人」像。陽気すぎはすまいか。顔はにこりともしてませんが。

 川越では国道16号と重複する。R16は東京郊外の諸都市を結んで走る環状道路で、まあ全面的に機能本位のバイパスを継ぎはぎした、筆者に言わせれば必要悪に近いようなクソ面白くも何ともない国道である。マンションと大型店が並ぶ、いかにも衛星都市でございますといった風景が沿道を飾る。


R16との重複区間。富士見川越道路が無料開放された暁には、この重複区間はなくなるかもしれない。

 が現金なもので、R16と分かれた直後から風景は一転してのどかな農村のそれに変わる。R16という道はやはり「首都圏の縁取り」として機能しているわけである。ただこのさらに外側に現在圏央道という高速道路が建設中であり、これが全面開通すれば都市圏はまた一回り膨れ上がることになるのかもしれない。


R16を過ぎたとたん、手のひらを返したような農村っぷりになる。

 ここから先しばらくは東松山くらいしか大きな街はなく、淡々とした区間が続く。バイパスがあちこちで整備されつつあり、どれが本ルートかわかりにくいところも多い。小川町の旧道のように、地図上では国道指定を外されているにも関わらず堂々と国道標識を掲げたままのところもあり、真の国道はどういうルートなのか真相は闇の中である。


道の駅おがわまち前。だいぶ古い地図でも、国道指定は外されているはずなのだが。

 さてその小川町の旧道にデンと鎮座しているのが「道の駅おがわまち」である。ここは和紙の産地として有名で、薄く柔らかいので折り紙マニアには評判がよい紙の一つである。いろいろ和紙を使った民芸品も豊富なので、折り紙者以外も立ち寄って損はなしである。


道の駅の看板娘(?)。えらく巨大で、顔が稚拙なのが異様なまでの迫力をかもし出す。

 本線へ復帰、ここらは東武東上線、八高線なんかと併走する。この辺から山がちになり、空気の肌合いも変わってくる感じがする。この一帯、「靱負」「男衾」「露梨子」など面白い地名が続く。全部読めたあなたはかなりの地名マニア、日本語通であろう。

 ということでその2に続く。

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