☆ネーミングいろいろ(1)

 有機化合物が合成されると名前が必要になります。正式な命名法はIUPACという組織で決められた万国共通の方式があり、構造式を機械的に置き換えて命名します。これでは複雑な分子を表そうとすると3行も4行もある名前になってしまい、実用的ではありません。そこでわかりやすい「あだ名」が一般的に使われます。いくつか例を見てみましょう。

 

 上左(紫)のさいころ型の分子は1964年にEatonらによって合成され、その形(cube)からキュバン(cubane)と名付けられました。高度にひずんでいるためいろいろと面白い性質を示し、当時ちょっとした話題になりました。右側の黄緑色の方はここにさらに取っ手をつけたような形です。これはバスケタン(basketane)といいます。もちろんバスケットを開けた形に見立てての命名です。

 これもちょっと変わった形の分子です(水素は省略)。左の分子はねじれた形からツイスタン(twistane)と名がついています。では右側は?これは同じ形のユニットが2つくっついた形なのでジェミナン(geminane)といいます。ギリシャ語で双子を意味する「gemini」から来ています。

 ではこれにはみなさんなら何と名付けますか?おそらく大方の予想通り、これは「プロペラン(propellane)という化合物です。これは人工的に合成されたものですが、天然からもこの骨格を持った分子が発見されています。

 なんだ、どいつもこいつもそのまんまじゃないか、と思われる方も多いでしょう。まあわかりやすくて言いやすい名前をここでは集めてみたためです。次のページでは日本語を含む化合物をいくつか御紹介しましょう。

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