☆二枚貝(津田良夫・作)、巻き貝(布施知子・作)

 折り紙作品の美しさ、面白さにもいろいろな種類がありますが、今回取り上げる2作品は「折り線そのものの美しさを追い求めたもの」といってよいかと思います。

 「二枚貝」はベテランの折り紙作家、津田良夫氏の手になるものです。縦横にひだ折りをした上で引き出すように丸みをつけ、貝の形にまとめただけですが、ある意味で「本物よりも本物らしい」リアリティのある作品に仕上がっています。紙はシャープな折り線になり、また光線の反射が美しく映える「マットホイル紙」という紙を使用しています。



18cm×18cm。薄いホイル紙であるため紙の重なりが多くてもまとまりやすい。

 「巻き貝」の方は数少ないプロの折り紙作家、布施知子さんの作品です。布施さんは複数の紙を組み合わせて幾何立体や箱などを作る「ユニット折り紙」の第一人者ですが、一枚折りでもこうした傑作を生み出しています。


オーロラ折り紙、15cm×15cmより

 これも原理は単純で、先の細い三角形に折った紙にギザギザの折り線をつけ、順にまとめていっただけの作品です。それでいて誰が見ても文句なしの巻き貝ができあがっていますから、これこそコロンブスの卵というものなのでしょう。ただし自然ならせん型になるよう、段折りの幅などは非常によく工夫されています。

 単純な構造でリアルな自然の造形に迫るこうした作品は、何か生命を作る基本原理に近づいたような感じをもたらしてくれます。とはいえこうした作品はシンプルなだけにごまかしが利かず、正確に折らないとアラが簡単に露呈するという、折り手の技術が試される作品でもあります。

 

 「二枚貝」……「創作折り紙をつくる」(津田良夫著、大月書店)収録

 「巻き貝」……「季刊をる別冊 折り図集1」(双樹舎)収録

 

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