☆アリゾナグリーンティー

 かの松井秀喜選手が在籍するスター集団・ニューヨークヤンキース。ヤンキースというからには、ジーターやソリアーノやAロッドは髪をリーゼントにして、どこから手に入れるんだか不思議になるような奇怪なデザインの学ランを着て、道ばたにウンコ座りでしゃがみ込んで「喧嘩上等」「そこんとこ夜露死苦」とか言ってるのか。もちろんそんなことはありません。そう、本来英語で「Yankee」とは「アメリカ北東部出身の人」という意味でしかないのです。一体戦後日本では何をどう間違って今のような意味にすり替わったのか、実に不思議なところです。

 もう一つ言えば、「ブルース」という言葉もなかなか不思議です。ジャニス・ジョプリンと淡谷のり子が歌っている音楽がどうして同じ「ブルース」という名前で呼ばれるのか、これは世界の音楽評論家の英知を結集しても答えは出ないところでしょう。バレンタインやクリスマスの例を引くまでもなく、文化というものは国境を越えたとたん何らかの変形・変質を受けるのは避けられないもののようです。

 ということは日本の文化もやはり海を渡ったとき、何らかの変質を受けているのでしょうか。答えは言うまでもなく然り。今回登場するアリゾナグリーンティーがその神髄を存分に見せつけてくれています。以前T2氏の「アメリカ毒物軍団」のレポートでちらりと紹介されていますが、今回もとまち氏がかの国で試飲・レポートをして下さっています。中国で生まれ、日本で育った緑茶の文化があちらではどんなことになっているのか、さっそくレポートいってみましょう。

 

メールでは初めまして。掲示板でいつもお世話になっております、もとまちです。

有機化学の話やDDTの話など、とても面白いコンテンツで楽しませていただきまして感謝しております。特に、DDTは管理人様や投稿者の方の文章が面白くて、「いつかこの投稿の末席に名を連ねられたら」と思っておりました。

 いや、そのような大層なサイトではございませんが。こんなアホコーナーにあまり丁重に出られるとこちらが緊張してしまいます、はい。膝を崩して続きをどうぞ。

今回は、すでに既出なのですが、昨年、私が学会参加のためアメリカに行ったときに ポイズニングを敢行いたしました「ARIZONA GREEN TEA」(低糖緑茶)についてのレポートを報告させていただきます。場所はアメリカ合衆国、メリーランド州ボルチモアの日本でいうスーパーマーケット、2003年10月のことです。

 アリゾナ州。どんなところなんでしょうか。筆者の脳裏に浮かぶアリゾナのイメージは「砂漠のサボテンとワニの中で、鬼のような形相で豪速球を投げ込むランディ・ジョンソン」といった大変貧困なものですが、ともかく世界の中でこれほど「緑茶」のイメージからかけ離れた場所はないように思います。

怪しいジュースを発見できないものかとスーパーを散策していましたが、ハーフガロンサイズのおなじみルートビア(スーパーでを形成)などインパクトはありますが、ちと物足りない既出のものが多くて残念に思っておりました。「どうせ既出なら、ネタになるこいつにしよう」と思って選んだのが、「ARIZONA GREEN TEA」(低糖緑茶)でした。

 


(撮影:T2氏)

いやぁ、見れば見るほど笑えます。昔の曲解したジャパンのイメージを具現化したようなパッケージに加え、「緑茶」なのに「低糖」の文字。この辺からしてカルチャーショックを禁じ得ません。 

 期待に違わぬ見事な変質っぷりです。緑茶に糖分を入れるんじゃねえとか、なぜゲイシャガールが登場する必要があるのかとか、なぜ「梅」だけ字が下手なのかとか、あまりにツッコミどころが多すぎます。筆者にひとこと言ってくれればもう少しましな字を書いてあげられたと思うのですが、近所の日本語学科の学生か何かに頼んで間に合わせてしまったのでしょうか。

既出のレポートには、思ったほど甘くないとありましたが、私にはかなり甘く感じました。透明感のある緑茶の色で、この粘つくような甘ったるい喉ごし。お茶請けに羊羹を用意していたとしても、それを殺してしまう甘さだと思いました。甘さでいえば、日本のチバラギの国で飲めるマックスコーヒーに匹敵するのではないでしょうか。緑茶の色でこの甘さとは、まったく、茶園で働く人に土下座しなさいと説教したくなるような感じです。味も緑茶というより蜂蜜ドリンクに近いと思います。

 マックスコーヒーといえば「甘さがMAXだからマックスコーヒー」という説があるくらい甘ったるいSo Sweetなドリンクですが、かの国では低糖でもマックスクラスのようです。この力業、さすが「世界のジャイアン」と呼ばれる国家だけのことはありますね。

砂糖がゼロ%だったことから、この甘さはサッカリンやステビアなどの甘味料ではないかと思います。実際、ホテルにもダイエット用にサッカリンが置いてありましたし。そこまでして甘さを追求したいのか、アメリカ人よ。いっしょに学会に行った同僚にも飲んでもらいましたが、「ありえない」と一言。結局、トイレに流しました。茶園の皆様、ごめんなさい。

そもそも、味に関してはデジタルなアメリカですから、程よい甘さとか渋さというのを求めるのは難しいのかもしれません。学会期間中も、甘くないドリンク(コーヒー)を提供してくれるスターバックスに入り浸っておりました。これが、今回アメリカで痛感したカルチャーショックでした。もし、ポスドクにアメリカに行くとしたら緑茶ときゅうすを持参する必要がありそうです。

 よそに行って何がつらいといって、食い物が口に合わないというのが一番つらいですからね。筆者も海外に出かける際にはせいぜい気をつけるとしましょう。

 

 「アタリ」というアメリカのメーカーのゲームは「コインいっこいれる 0クレジット」「あショックウェーブを えよ「残虐行為手当」といった実にイカした日本語表記がなされていたので一部で有名でしたが、今回はなんとなくそれを思い出しました。まあおそらく音楽やゲームの中で日本人が使っている英語も、向こうの人から見れば相当おかしなことを言っているんでしょう。インターネットや航空機の普及で世界はボーダーレス時代を迎えたといいつつ、実際にはまだまだ巨大なカルチャーギャップが残っている、そんなことを実感させてくれる実にハードコアなドリンクでした。


(追記)

 このページの読者の北川氏から、新たなアリゾナグリーンティーの写真を届けていただきました。


上に紹介したものとは少々バージョンが違うようです。以下北川氏の感想です。

私も昨年秋にアメリカのニューオリンズに出張したときにアリゾナクリーンティーを体験しました。出張8日めで、日本茶が飲みたいと思って、コンビニを見ていたら緑茶の文字が。喜んで購入し、ホテルで飲んで絶句。緑茶がなんでこんな甘い?なんか薬くさくないか?

と、容器を見てみると小さくwith GINSENG and HONEYの文字が。朝鮮人参&蜂蜜入りとは恐れ入りました。結局、1/3位しか飲めませんでした。容器を持ってかえりたかったのですが、空港での手荷物検査に引っかかるのが怖かったので写真だけとりました。

緑茶に蜂蜜というセンスは、さすがアメリカと変に感動しました。

 なんということか、朝鮮人参が混入されていました。これはもはや緑茶からは遠く離れた、何か別の物です。まあ文化の壁というものはこういうものなのだと思うほかないのでしょう。世界最強国家恐るべしです。

 

 評価:★★★★★

 

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