国道459号線を行く〜その2〜

 道路というのは人間が便利に暮らすためにあるものなのだから、本来合理的に作られているはずである。が、実際には走っていると変なこと、妙なポイントはいろいろあり、疑問を持って調べていけば実はなかなかに奥が深かったりする。で、この国道459号の後半は、まさにその不合理なヘンテコポイントが満載なのである。

 R459は喜多方市を東から西へ貫通しているが、市街の西の端にロストポイントがある。5差路を斜めに入る地点なのだが、一方通行で大型車進入禁止のとうてい国道とは思えない路地であり、カーナビがあってさえたいていの人は見落としそうだ。別にこんなクソ狭い道に入り込まなくても、そのまま北上して左折する方がはるかにわかりやすいのに、全く意味不明のルーティングである(現地地図)。


表通りとの差は甚大である。

 推測するに、ここらはかつては喜多方のメインの街道だったのだろうと思われる。そいつがそのまま県道に指定され、周りにいい道が開発されたにもかかわらずそのままになり、あげくに国道にまで昇格してしまったのだろう。この後市道などと何度か交差するが、国道の方が格下で毎回一時停止を強いられる。まあ国土交通省の役人さんたちも全ての国道の現地調査もしてはいられないであろうが、それにしてもこいつはないだろ、と思ってしまう。


市道との交差点に立つ標識。「必死だな」っちゅう感じである。

 この後R459は市街地を離れ、田んぼの中から山を越えて山都町に向かう。が、ボロくて山深いこの区間は冬期通行止めがあり、筆者も一度R459一気走行をたくらんで必死に走っている最中にここで足止めを食って愕然としたことがある(4月も後半で、すでに雪は一粒もなかったのだが)。ということで冬場に山都町方面へ行きたい場合は、一本南にある県道16号を利用することになるのだが、実は冬でなくてもこちらの方がよほど整備が行き届いていて走りやすい。だったら最初からこっちを国道にすりゃいいだろ、と思うのは筆者だけではあるまい。


山中にある無意味警戒標識。何に注意すべきなのだろうか。禅の境地という感じもする。

 とはいえ、ここらから見る飯豊(いいで)山地はなかなかの眺めであり、夕陽の沈むありさまなんぞはほーっとため息をついてしまいたくなるくらいの美しさでもある。が、この先には町らしい町はひとつもないので、あまりのんびりしていると真っ暗な山中でえらいことになるのである。

 さて山都町といえば知る人ぞ知る名物、「宮古そば」というのがある。渓流に沿った山奥の集落で作られている「幻のそば」であり、その筋の人には愛好者も多いらしい。せっかくなのでこの際筆者も訪ねてみることにする。とはいったものの、宮古というのはえらい山奥である。

 ガードレールもない川沿いの心細い道をうねうねと走ることしばし、忽然と宮古の集落が現れる。ほとんどの店では予約をしないと食べさせてもらえないのだが、飛び込みでも食べられる店を見つけて入店。「あのー、そば食べたいんですけどー」「あれー、母ちゃん?お客さんだけどさ、今そばあるっけ?」「あ、一人分ありますよー、どぞお客さん」てなやりとりの後、普通の農家の居間そのものの部屋に通される。


難行苦行の末、そば屋到着。

 筆者は知らなかったのだが、ここの名物はつゆではなくただの水につけて食べる「水そば」らしい。出てきた二枚のそばのうち、一枚は水だけで、もう一枚の半分は塩、もう半分をそばつゆにつけて食べてくれとのことである。そばそのものの味と香りを味わってほしいということなのだろうが、筆者のような素人としては最初っからつゆにつけさせてくれよ、といいたくなるところではある。枯淡の極地ともいえそうな味わいではあるが、この味がわかるには筆者はまだだいぶ修行が必要のようだ。ちなみに値段はそば二枚で1500円也、まあ話のタネにはなるというところである。

 宮古を後にして再び頼りない道を西へと走り、杉木峠(いい名前ですな)を越えると阿賀野川が見えてくる。実際ここらの川と来たら、一体どこから水が来るんだと思うくらい水量が豊かである。まあ日本屈指の豪雪地帯の雪解け水が集まっているのだから当然といえば当然だが、それにしても凄い。


阿賀野、只見など会津の川は川霧が多く発生することで知られる。幻想的な光景である。

 ここらからR459はJR磐越西線に並行して走る。これもまた単線の実に渋い路線である。このあたり狭い道ながら融雪装置はきちんと完備しており、雪国の暮らしを偲ばせる。


地味の極限ともいうべき徳沢駅前。レトロなムードが漂う。

 新潟県境に近づくあたりでR459はぐーっとR49へ近づいていくのだが、寸前で引き返す感じでまた北へと離れてゆく。間をつなぐ県道もあるので意地を張らずに合流しとけばいいのにとも思うが、ともあれR459は単独のまま新潟県へと突入する。

 この区間、川を挟んですぐ南を整備の行き届いたR49と磐越道が通っているため、わざわざ狭いR459を走るのは地元民と筆者の如き物好きだけである。意味不明もここまで来れば立派、と思っていたら今度は今にも崩れそうな素掘りのトンネルが、なんと12連発で訪れる。睦月・如月・弥生……と名前だけは風情があるのだが、現物は幅も高さも狭く、閉所恐怖症の人が見たら逃げ出したくなるような代物である。


水無月トンネル。国道でこういうトンネルというのは他ではあまり見た記憶がないが。

 トンネル群を過ぎたあたりからはヨレヨレ状態から脱してまあまあまともな道になり、津川町の役場付近でついにR49に突き当たってR459の旅は終わりを告げる……のだが、実は法律上はまだ終点ではない。R459はこの後もR49と重複し、50km以上先の新潟市まで続いているのである。毎度のことながらこうした末端重複区間の意味は何なのか謎なのだが、中でもこれほどクソ長く意味の分からない重複区間は珍しい。


見かけ上の終点。がしかし実はまだ先は長いのである。

 R49に合流した後は阿賀野川に沿って一路西を目指す。さすが2ケタ国道の風格、道幅も広く快適で、走りやすさは段違い。まあR49がこれを聞いたら、R459あたりと一緒にしてくれるなと言うことだろうが。

 新潟市内に入ってR49はさらにR7と合流し、県道3号との交点「栗ノ木橋」交差点でR459は今度こそ終了となる。なんでこんな中途半端な場所が終点なんだと思ってしまうが、どうやらR7新新バイパスができるまではこの交差点がR7×R49の交差点であり、現在もR49の法律上の終点はここである。R49に間借りをしてここまでやってきたR459(とR403)は親分に義理立てし、共にここで終点となるということなのだろう。8つの国道起終点が集まる新潟本町交差点まではあとほんの2kmほどなのだが、寸前で力尽きて終わる。全部本町に統一しとけばいいのにとも思うが、役人のやることはよくわからないことだらけである。

 

 というわけで全線走破を終了した。この国道の存在意義は事実上喜多方市までで終わっていて、それ以降は何のためにあるのか、なぜ新潟まで延びているのか、全く意味不明の路線である。自分たちの県にR459という国道があることを知っている新潟県民はどれくらいいるのだろうか。まあ余計なお世話だが。

 とはいえ読み返してみると、結構変化に富んでいて風景も美しく、実はなかなか面白い路線でもある。温泉もうまいものもあるし、ドライブコースとしてもおすすめ品のひとつと言っていいかも知れない。後半のヘタレっぷりは、酷道初心者の練習にも向いているだろう。まあ国道者なら一度は制覇しておきたい、そういう路線であると思う。

 

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