国道317号線を行く・その2

 で、R317編パート2である。次は愛媛県に入って大三島、これがしまなみ海道最大の島である。大三島ICを出てすぐにあるのが「道の駅・多々羅しまなみ公園」で、今渡ってきた多々羅大橋を一望にできる。


手前が道の駅の建物、橋の向こうに見えるのは生口島。

 ここからは点々とたくさんの小島も見えて、瀬戸内というのは本当に多島海なんだなあと実感する。観光地というものが「ふだんは見られない景色があるところ」だとすれば、瀬戸内海こそ日本有数の観光地というにふさわしい。エーゲ海にだって負けないぞ、ってなもんである。

この近くには「瀬戸内の湯・多々羅温泉」というのもあって、安くて施設もよいのでこれまたおすすめである。しかしこんな島にまで温泉があるというのはちょっと驚く。温泉があるから日本人が温泉好きになるのか、温泉が好きだからあちこちで温泉を掘るのか。いずれにせよ筆者は温泉に浸かっている時が一番「日本に生まれてよかったなー」と思う時である。ぷはー。

 で、もう一発橋を渡るとその先は伯方(はかた)島。ごていねいにここにも道の駅がある。しまなみ海道にはどうやら一島一駅くらいの勢いで道の駅を作らんとしているらしい(さっきの大三島には2つ)。


曇り空が残念だが、なかなかリゾート気分な道の駅、伯方S・Cパーク・マリンオアシスはかた(長い)。

 この道の駅に入ってみると、何の変哲もないカルビーのポテトチップが誇らしげに山積みされている。実はこの島は古くから塩の生産が盛んで、カルビーの製品はこの島で採れたミネラル分の多い塩を使っているんだそうである。駅にはこの他粗塩に焼き塩、塩ラーメンに塩の花、勢い余って塩アイスなんてものまで売っている。チャレンジングスピリット豊かな筆者は話の種にひとつ食ってみたが、まあまずくはないがもう一度買うことはきっとないだろうな程度の味わいであった。


伯方島の港付近にある「転落」の標識。インパクト大。確かに夜に知らずに来ると落ちそうだ。

 そして大島大橋を渡るといよいよ最後の島、大島である。ここも「高速」としてはまだ道がつながっておらず、現在島内で工事が進行中である。島の自然が切り崩されているのを見ると心が痛むが、島の人々にとっては余計な車が島内をうろうろしなくなる方がいいのか、それとも金を少しでも落としてくれた方がいいのだろうか。良くも悪くもこの橋が、静かな島の暮らしを変えてしまったことは確かだろう。

 大島と四国を結ぶのが来島海峡大橋、しまなみ海道最後にして最大の橋である。世界初の3連吊り橋で、長さは合計で約4kmに及ぶ。橋を支える塔の高さが184m、使われた鉄が10万t、コンクリートが48万立方mというから、なんだか桁外れすぎて想像がつかない。


来島海峡大橋。途中武志島・馬島の2つの小島を踏み越える。

 これに限らず、瀬戸内海に架かる橋は全てが世界一といっていい。明石海峡大橋は全長3991mの世界最大の吊り橋、瀬戸大橋は道路鉄道併用橋として世界最大、しまなみでも多々羅大橋は斜張橋として世界最大。どれをとっても日本が世界に誇る、すばらしい先端技術の結晶といっていい。

 がしかし、その世界一の橋たちの交通量はがっくりくるほど少ない。これだけの観光資源を抱えた島々をゴールデンウィークまっただ中に通ったにも関わらず、である。まあやはりこの不況のさなか、いかに四国へ渡れるからといって4000円という料金は高いということだ。

 3つの本四架橋を管理する本四公団の赤字額は、現在3兆8千億円だそうである。中小企業の社長が1千万円の負債が返済できずに首をくくっている世の中、その38万倍の借金を作ってのほほんとしているわけだ。なんだかもうアホすぎてツッコミの入れようも思いつかない。しまなみにせよアクアラインにせよ一ドライバーとして走るにはいい道なのだけれど、税金を納める一国民の立場としては怒りを通り越して呆れるくらいの代物だ。もちろんこういった事業は数十年たってみないと真価は計りにくいものだけど(東名高速も当初は馬鹿事業呼ばわりをされたという)、今この日本の財政状況で本州〜四国間に3ヶ所も橋を架ける必要は間違いなくなかった。

 しかしまあ作っちまったものはしょうがないわけで、この先どうにも黒字にはなりようがないんだったら、いっそのこと思い切って料金を半額くらいに値下げしちまえよ、とも思う。現状のだーれも走ってない状態よりは、まだ少しでも本州−四国の交流に使われた方が橋たちも浮かばれるのではないか。まあしかし小泉首相は、このバカみたいな借金を平気で垂れ流す道路公団だけはどうにかしてから引退してほしいと切に願う次第である。

 

 と、そんなことを言っているうちにしまなみ海道は終わり、今治市内に降り立つ。なんやかんやいってやはり本土は本土、都会に来たなあと思ってしまう。市内のR317は4車線の立派なメインストリートである。


写真ではわかりにくいが、ローソンの向こうはタオル工場。

 ちなみに今治は人口12万弱の中都市だが、なんと全国の6割のシェアを占めるというタオルの一大産地なのである。市内には四国八十八ヶ所参りの霊場が4つもあり、お遍路さんの姿もよく見かける。話には聞いていたのだが、四国を走っていると意外にたくさんの人がお参りして回っているのでちょっと驚く。22〜3くらいの若い兄ちゃんが菅笠と白衣(はくえ)に身を包み、コンビニのおにぎりにしっかりと祈りを捧げてからかぶりつく姿が印象的であった。

 このあとR317は松山へ向けて山越えの区間に入る。四国は紀伊半島・中国山地と並ぶ「酷道」どころで、実際泣きたくなるような悲惨な道が多いのだが、このR317は例外的に整備が進んでいる。今治〜松山間は海岸沿いのR196というメインルートもあるのだけれど、R317の方には道後温泉という重要なスポットがあるためだろう。途中の水ヶ峠が難所だったが、ここにも長いトンネルが掘られてずいぶん楽になった。


水ヶ峠からの下りの途中にある石手川ダム。人造湖ながらなかなか風情あり。

 松山市街の手前で、道後温泉のホテル街が現れる。日本という国はどこに行ってもたいてい温泉には不自由しないのだけれど、四国だけは例外でここ以外にこれといった温泉がない。しかし松山という街もなかなかいいところだし、いろいろと観光地も多いので一度じっくり泊まりに来てみたいところである。

 その道後温泉を通り過ぎ、松山市街の中心部でR11(徳島市〜松山市)に合流してR317の旅は終わりを告げる。市街地には路面電車も走っており、なかなか風情ある建物も多いので散策するだけでも楽しい。


R317終点(だと思う)。記念に(?)画面右端のホテルに泊まってみたが、安くてきれいでなかなかよかった。

 というわけで走行を完了した。全国でも屈指の金のかかる国道なわけだが、「旅をした」という気分に浸れる点でもこれだけの道はなかなかない。海・山・温泉・食べ物と、R317全体が旅の楽しさの詰め合わせみたいなコースになっているのである。あとはいちいち島の料金所で降りるたびに小銭を用意するのが大変なので、ETCに対応してくれると筆者としてはなお嬉しいところではある。というわけでしまなみ海道R317、一度訪れることをおすすめしたい。

 

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