・ノルゾアンタミンは、1995年に上村らのグループによってイワスナギンチャクから発見され、骨粗鬆症治療薬として近年大きな注目を集めている化合物です。複雑に縮合した7つの環を持つ上、4級不斉炭素を多く含むなど極めて合成困難な化合物ですが、2004年に北大の宮下・谷野らによる見事な全合成が報告されました。トータルで41段階を要していますが、全体に全く無理のない美しい合成ルートであり、各段階の平均収率は92%にも達します。分子内Diels-Alder反応による骨格構築、重水素を利用した反応制御など見どころも多く、全合成の論文としては久々に「Science」に掲載されるという快挙を成し遂げました。
Science 305, 495 (2004)
宮下研究室ホームページ