☆シジミエキス21S(トーサム)

 「名物にうまいものなし」とよくいいます。裏を返せば「名物に毒物あり」ということになります。昔の人はうまいことを言うもので、確かにお土産物屋では地方特産の毒物がかなり高い確率で入手できます。

 筆者なりにこの理由を考えてみると、まず今のこの情報社会、本当にうまいものならすぐ全国に広まって有名になっているに決まっている、というのが一つ。そしてもう一つ、土産物屋は同じ客を二度相手にすることはない、というのも重要なポイントでしょう。近所のスーパーでまずいものばかり置いてあればすぐその店は潰れるでしょうが、土産物屋はうまいものを置いたところでもう一度その客が来ることなく、まずかったところでわざわざ文句を言いに来るやつはいません。いわば悪い意味で一期一会ですから、下手に努力をして美味しいものを作るよりも、一発のインパクトがある商品の方が売り上げが見込める、ということになるわけです(ほんとかどうか知りませんが)。

 というわけで筆者は旅の折りにはたいてい「道の駅」に立ち寄って毒物探索を行うわけですが、このほど青森県は十三湖のほとりにて久々に激烈なブツを発見したので報告しましょう。「貝活飲料 シジミエキス21S」です。これは大変なことになった、と思うのは筆者だけではないでしょう。

 まず外観からチェック。100mlの小ビンに黒と金色を基調としたラベル、まあよくある栄養ドリンクのデザインのパクリとみてよいでしょう。値段は250円也。高いです。いくら一期一会とはいえボリすぎではないでしょうか。ちなみにこの汁には2種類あり、ひとつはエキス10%配合の「シジミエキス21」、もうひとつは15%の「21S」です。店頭の表示によれば「21Sは多少クセがあります」だそうです。ほー、多少ですか。探検隊長としては当然ながら「21S」をセレクト、流れるような動作でゲットです。


デザインはけっこうしっかりしています。

 恒例に従い原材料チェック。「ヤマトシジミエキス 香料 酸味料 果糖ブドウ糖液糖」……えっ?甘いんですか?シジミ汁を甘く仕立てたんですか?多少クセがあるんでしょ?この時点で★4つは既に確定です。貝の汁を清涼飲料にしようという発想が凄いですね。鬼に金棒、ボブサップに凶器という感じです。

 ではフタをオープン。ポイズニングの作法に従い(いつできたんだそんなもん)、まずは香りを確認。くんくん……うーん、普通の清涼飲料水の香りなんですが、その奥に何かの臭いが隠れている。しばらく考えて出した結論としては、ザリガニの臭いですね。子供の頃田舎で育った方ならご存知と思いますが、なんか泥臭いような、まったりと脳の奥に突き刺さるあの臭いです。懐かしい臭いじゃあるんですが、何もこんな形で再会しなくてもよかったという感は拭えません。まあ一応平静を装って書いてはいますが、実際には筆者この時点で泣きそうになっています。

 で、いよいよ試飲なわけですが、なんか久々にドキドキしてきました。なんで本州の北の端まで来て250円も払ってザリガニくさい飲み物を飲まねばならんのだ……。こんな企画を始めてしまった自らの愚かさを思わず呪いたくなってしまいます。まあいいや、トライしてみましょう。こういうのは飲んでみると意外と「あれ?おいしいや!」ってなこともありますからね。いや、そうですよきっと(自らを鼓舞中)。ザリガニ臭いという時点でその望みはかなり薄いんじゃねえのとか言うな。では行きます、せーの、ごっくんうわあまずい(泣)。ありえません、これは。一瞬昼間にも関わらず死兆星が見えました。 予想通り生臭い貝の汁を甘く仕立てたのが致命傷になっていますが、予期したものを遥かに上回る破壊力です。しかも舌の奥に長時間、非常に不快な後味が残ります。ブドウを食べた後に残るあの感触の、すごくおいしくないやつといえばわかってもらえるでしょうか。いくら筆者でもこいつのふた口目を飲む気力は沸き起こりませんでした。

 やはり地方には恐ろしい毒物がまだまだ眠っています。十三湖のシジミたちもこんな飲み物に仕立てられては浮かばれないでしょう。ちなみにこれも東北通商産業局長賞ってのを受賞しているそうですが、本当に試飲してるんでしょうか、役人の方々。シジミエキス21フォーエバー、君のことは忘れない。

 

 判定:★★★★★★★★

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