☆旧道に残された国道標識

 ほんの40年ほど前まで、日本の国道はほとんどが細く頼りない砂利道で、車がすれ違えるかどうかという区間がたくさん残っていました。そうした道たちは数十年かけて徐々に幅が広げられ、舗装がなされ、バイパスが建造されて、今見るような快適な道路が整備されていったわけです。

 バイパスが開通すると、その区間の旧道はたいていの場合県道や市道に格下げとなり、国道指定が外されます。通過車両はバイパスを走り抜け、旧道は地元民が利用する生活道路にその性格を変えてゆきます。

 地図などを見ながら、旧道がどのようなルートをたどっていたかを推理するのはなかなか奥が深い楽しみです。現地を訪ね、かつて国道であった証拠を見つけることができれば喜びもさらに増すというものです。

 下の写真は、福島県いわき市の諏訪集落付近に残存していた古い国道標識です。左上のガードレールが現役の国道49号で、すれ違いさえ難しいこの旧道はもちろんとっくの昔に国道指定を外されています。この道の国道指定は昭和38年ですから、少なくとも40年以上前にここに立てられたものでしょう。国道49号にはもう少し西の旧長沢峠にも、ダート区間にこうした標識が残っています。当時はこの集落内も、おそらく舗装さえされていなかったのではないでしょうか。

 

 ぼろぼろに錆びた一枚の古い標識は、ここがかつて誇り高き2ケタ国道であったことを示し、静かな風景の中まっすぐに立ち続けていました。もちろん今や何の意味もない存在ではありますが、この道の歴史の語り手として大切に残しておいてほしいと思った次第です。

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