☆県境うろうろ国道・県道

 ロングドライブの最中、県境を越える瞬間というのは長い道のりの一里塚としてなかなか印象深いものです。多くの場合峠や川が県の境界線になっていますが、中には地形の関係で県境を何度も越えなければいけないケースがあります。

 国道156号の富山〜岐阜間がその例で、蛇行する庄川が県境となっているため橋を渡るたびに富山と岐阜を行ったり来たりします。合計7つの橋はまとめて「飛越七橋」と呼ばれ、五箇山・白川の合掌造りの里を結んでいます(現地地図)。

飛越七橋最大の「合掌大橋」。

 さらに極端な例としては国道371号、高野龍神スカイラインがあります。この道は楢と和歌山の境をなす山脈の尾根に沿って走るため、途中で合計52回県境を越えるのだそうです。かつては有料でしたが2003年以来無料開放されており、四季折々の風情を楽しめる道となっています。

短い区間でも律儀に県境の表示が立っている。右は拡大図。

 県境を越える県道というのももちろんたくさんあります。以前はこうした場合番号は県ごとにバラバラに付けられていましたが、国から「なるべく両県で番号を揃えるように」という通達が出され、1996年に一斉に番号の付け替えが行われました。例えば県道笠間宇都宮線はかつては茨城県では県道5号、栃木県内では県道1号となっていましたが、現在では両県通して県道1号を名乗っています。

 3県にまたがる県道となるとさすがに非常に数が少なく、静岡・愛知・長野県道1号など全国でも数本程度しかありません(ちなみにこの道は日本最小の村・愛知県富山村へのメインルートとして、秘境ファンの間では有名です)。

ところが恐らく全国で唯一、4県を通過する県道があります。茨城・埼玉・群馬・栃木の4県境界線付近を走る、県道佐野古河線(県道9号)がそれです。

 この道は古い街並みの残る古河市の中心部を出発しますが、わずか1kmほどで国道354号に合流してしまいます。国道と重複したまま渡良瀬川にかかる三国橋を渡って埼玉県に入りますが、2kmほど行くと再度埼玉県道9号として独立することになります。

遠くに県道9号の標識が見える。

 この後は谷中湖(渡良瀬遊水池)の堤防に沿って北西に向かいますが、この付近で数kmの間に埼玉・栃木・群馬・埼玉・群馬・栃木と目まぐるしく3県を出入りします。付近の地図を見ると、道は直線なのに県境の方がうねうねと入り組んでいる様子がわかります。ちなみにこの埼玉県区間には最近「道の駅きたかわべ」がオープンし、渡良瀬河畔の風景をゆっくりと楽しめるようになりました。

 この変な区間の由来は、隣接する渡良瀬遊水池にあるようです。この湖は明治時代、続発する渡良瀬川の水害と、上流の足尾銅山からの鉱毒を防ぐため、政府が強引に当時の谷中村を廃村にして作りあげた人造湖なのです。実際県境線は谷中村時代そのままに、湖の中まで複雑に入り組んだ線が続いています。

 もう一つ、とって付けたような茨城県区間の存在もちょっと謎です。最近渡良瀬川には新しく「新三国橋」が建設されており、将来R354はこちらに移りそうなので、そうなった時に旧三国橋を県道として管理できるように茨城県区間が作られた――と筆者は推測していますが、さてどんなものでしょうか。

 

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