☆絶滅危惧種・国道のいじわるゲート

 多くの車のスムーズな通行――これこそが道路の基本的な役割のはずですが、天下の国道上に狭苦しいゲートが作られ、車の通行を阻んでいるところがあります。人呼んで「国道3大いじわるゲート」です。

 ひとつはR354編で紹介した、茨城県の北浦にかかる「鹿行大橋」の入り口にあるものです。何としても幅2.4m以上の車は通さないぞという決意の感じられる、素晴らしく大橋の名にふさわしくない構築物です。

写真だとわかりにくいが、威圧感は相当のもの。

 北日本代表は、山形県大江町左沢(あてらざわ)のR458にある物件です。現地を見る限り、重量制限の標識はあるものの幅の規制はかかっていないようなのですが、言葉ではなく態度で示すのがみちのくスタイルなのでしょうか。左の2本は間が空いていて右は閉じているあたり、寺院の門番役を務める仁王像の「阿吽の呼吸」を思わせるものがあります。なおR458は、このちょっと北側に日本最後のダート国道区間をも保持していますので、近くを通過の際にはセットで鑑賞してはいかがでしょうか。

不等間隔で並ぶ4本のコンクリート柱。あまり精密に造ろうとしていない、大らかな雰囲気が魅力的な一品。

 しかしR421の石榑峠(いしぐれとうげ)にあるゲートは、インパクトにおいてこれらをはるかに上回る、国道界屈指の強力な物件です。峠の頂上、三重県側と滋賀県側の2ヶ所に幅ぴったり2mのどっしりとしたコンクリートゲートが設置されており、不用意な侵入者を力ずくで撃退する仕掛けです。傷だらけになったコンクリートは、数多の車を餌食にしてきたこの峠の凄惨な歴史を物語っています。

通過には相当の度胸とテクニックを要する。

 この物件の意地悪のゆえんは、ブロックするならもっと下で行く手を阻めばいいものを、長い峠道を登ってきた車を最後の最後で食い止めるという実に悪質なやり口にあります。ゴールデンウィークなどには、国道だから大丈夫だろうとたかをくくってやってきた県外の車両が両側から多数やって来て頂上で鉢合わせし、にっちもさっちも行かなくなって大渋滞を引き起こすなどの悲惨なケースもあるそうです。というわけで鈴鹿山脈越えには、他がどんなに混んでいてもR421にだけは近づくべきではありません。

 

 しかしこれらのいじわるゲートは、どうやら近く全て国道上から姿を消すことになりそうです。実はR458のゲートは隣に新しい橋が架かり、上の写真の道はすでに国道指定を外されています。R354鹿行大橋も架け替え工事が計画されていますし、R421もトンネルを通すべく現在工事が進行中です(このためR421はただでさえ狭いところに大型ダンプが行き交っていますので、通行が大変難しくなっています。興味本位で近づくのは極めて危険です)。

 というわけで、国道いじわるゲートの消滅は間近のようです。まあ本来国道上にあっていい代物ではありませんので、消えてゆくのが当然ではあるのでしょう。道の進化の過渡期に現れた変な物件たち、せいぜいこうして記録に留めておくこととしましょう。

 

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