☆噴煙に消えた国道(国道230号・北海道虻田町)

 災害の多い国である日本では、道路も復旧不能なほど大きな痛手を受けることが少なくありません。せっかくりっぱなバイパスが造りかけられていながら、豪雨による地崩れで途中放棄せざるを得なくなったR289甲子道路などがその例ですが、さらに恐るべきケースが洞爺湖付近の国道230号の場合です。

 この付近は国内有数の活火山である有珠山があり、30年に一度ほどの周期で噴火を繰り返しています。そして2000年3月31日から起きた噴火ではR230の路面そのものが火山活動によって70mも隆起し、あたりの施設もろとも完全に破壊されてしまったのです。

 手前がR230の路面であったところで、画面奥の噴煙を上げているあたりが隆起した地面です。隆起の手前には沢の水がたまって池を作っており、水面から標識や電柱が顔を出しています。こんなことが起こりうるのか――と見るものを慄然とさせる眺めです。

というわけで国道は今や徒歩でも通行不能ですが、脇に通っていた町道が現在遊歩道として整備されており、火山活動の様子を間近で眺めることができます。奥の方では今でも噴煙が上がっており、触れてみるとまだ地面が熱いのが確認できます。周辺から今でも新しく水蒸気が噴出することがあるそうで、噴火のエネルギーの凄まじさをまざまざと示しています。

隆起によってひび割れた町道。左が整備された遊歩道。

 というわけでこのルートはすでに放棄され、現在は少し西を走っている道道97号の一部などがR230に組み入れられ、交通を確保しています(追記:2007年3月28日に代替ルートが開通し、道道97号の国道指定は解除されました)。

 隆起の頂上からは眼下に虻田の平和な町並みが見下ろせ、その向こうには内浦湾(別名噴火湾)の穏やかな海面が広がっています。背後には風光明媚な洞爺湖が望め、湖畔には火山の恩恵である温泉ホテルが立ち並びます。「日本沈没」ではないですが、我々が住むこの国は一見穏やかな街の中でいつでもこういうことが起こりうる場所なのだ――ということを改めで実感させてくれるような眺めでした。

 戻る