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↑NatureChemistry、いよいよ発刊!

 2009年 第14号 もくじ

1.注目の論文 2.安全な実験のために 3.館長の本棚 4.編集後記

有機化学美術館更新情報: (分館) 北の求道者、大いに語る 今月のお知らせと訂正とお詫び


 ☆注目の論文

・全合成

Total Synthesis of (+)-Dibromophakellin
Takuya Imaoka, Osamu Iwamoto, Kei-ichi Noguchi, and Kazuo Nagasawa
Angew. Chem. Int. Ed. Early View DOI:10.1002/anie.200806233

 酸化度の高いジケトピペラジンアルカロイドの合成。IBX酸化、Overman転位がポイント。農工大、がんばってますね。

Enantioselective Total Synthesis of (?)-Napyradiomycin A1 via Asymmetric Chlorination of an Isolated Olefin
Scott A. Snyder, Zhen-Yu Tang and Ritu Gupta
J. Am. Chem. Soc., 2009, 131 (16), pp 5744?5745
DOI: 10.1021/ja9014716

 ご推薦があった一報。不斉クロル化など、思いつかない反応が含まれていて勉強になります。

・反応

In Situ Enamine Activation in Aqueous Salt Solutions: Highly Efficient Asymmetric Organocatalytic Diels?Alder Reaction of Cyclohexenones with Nitroolefins
Dan-Qian Xu, Ai-Bao Xia, Shu-Ping Luo, Jie Tang, Shuai Zhang, Jun-Rong Jiang, and Zhen-Yuan Xu
Angew. Chem. Int. Ed. Early View DOI:10.1002/anie.200900269

 有機分子触媒による不斉Diels-Alder反応。新形式でしょうか。遷移状態の図なんかを見ると、ほんとにこんなにうまく行くのか?と思えてしまいますけど。

One-Carbon Extrusion from a Tetraazafulvalene. Isolation of Aldehydes and a Study of Their Origin
John A. Murphy,* Franziska Schoenebeck, Neil J. Findlay, Douglas W. Thomson, Sheng-ze Zhou, and Jean Garnier
J. Am. Chem. Soc. ASAP DOI:10.1021/ja8092746

 反応式だけ見ると「何で?」的反応。どういう展開があるか、考えてみると面白いかも。

・ケミカルバイオロジー

Metabolic Labeling of Sialic Acids in Living Animals with Alkynyl Sugars
Pamela V. Chang, Xing Chen, Chris Smyrniotis, Alexander Xenakis, Tianshun Hu,, Carolyn R. Bertozzi, and Peng Wu
Angew. Chem. Int. Ed. Early View DOI:10.1002/anie.200806319

 アルキンの結合したシアル酸を細胞や生きた動物に取り込ませ、これをバイオマーカーとしてクリックケミストリーで釣り上げる手法。実際の使い勝手はどうかわかりませんが、面白い。


※興味深い論文などありましたら、mmorg-chem.orgまで(@を半角に変換してお送り下さい)情報をお寄せいただければ幸いです。反応・全合成の他、医薬品合成・超分子・材料・天然物化学などなど何でも結構です。

このほど、筆者が作成に関わりました「創薬化学カレンダー」を発売元からいただきましたので、情報をお寄せいただいた方にプレゼントしたいと思います。3報お送りいただいた方、先着8名ということで。できれば論文の内容に関するコメントもお願いします。どっと一気にまとめて送ってこられると大変なので、できればぼちぼちと。


 ☆安全な実験のために

 クロラミン3水和物を、減圧下90度に加熱脱水していたら突然激しく燃え上がった。

 クロラミンT(TsNClNa)は酸化剤・窒素源としてよく用いられる試薬ですが、無水のものは爆発性を持ちますので、脱水は試みない方が無難です。また光で分解しますので、しっかりと遮光し、保存すべきです。

(参考:有機化学実験の事故・危険―事例に学ぶ身の守り方 p.242より)

 ☆館長の本棚

 情緒から論理へ (ソフトバンク新書)  (鈴木光司 著 767円)

 「リング」「らせん」「ループ」などで知られる作家・鈴木光司氏の著作。「国家の品格」で唱えられた、論理よりも情緒を磨けという主張に異論を唱える一作。日本人はただでさえ情緒に流れがちであるのだから、議論をただいやがって避けることなく、きちんと論理を通すことを説いた一作です。

 といっても単に情の面を否定するわけではなく、相手をねじ伏せるだけの屁理屈とも峻別すべきだという著者の主張には共感ができるところが多く、爽快ですらあります。アマゾンの書評にはひねた評価がついてますが、筆者としては文系はもちろん理科系のみなさんにもぜひお勧めしたい一冊です。


 ☆編集後記

 前号に続き、縮小版にてお送りいたします。

 メキシコ発の豚インフルエンザが、驚異的なスピードで拡大しているようです。メキシコでの死亡率は高いものの、他では死者が出ていないなど、情報をしっかりウォッチしないと危険性を判断できないようです。まあまだ慌てる必要はないでしょうが、それなりの備えはしておいた方が良さそうです。

 現時点ではタミフルも効くようです。どこかの研究室で、10kgくらい合成しておいてくれると安心なのですけど(笑)。

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